2020年11月8日から開幕する2020年大相撲11月場所。
コロナウイルスの影響もあり、おなじみの九州場所ではなく東京・両国国技館での開催となります。
直前の9月場所は正代が13勝2敗の好成績を残し、優勝と大関昇進を決めた印象深い場所でした。
正代が新大関として迎える11月場所は、果たしてどんな展開になるのでしょうか?
そこで、今回は11月場所の見どころと、優勝力士や対抗馬になる力士を予想します。
11月場所の見どころ
新大関・正代のパフォーマンス
9月場所では、危なげない相撲内容を見せて優勝を果たし、満場一致での大関昇進となった正代。
今場所でも9月場所同様のパフォーマンスが発揮できるかが注目ポイントの一つです。
朝乃山は7月場所の新大関の場所で、良いパフォーマンスを見せながらも優勝を逃し、それを引きずったわけではないでしょうが、9月場所は大苦戦しました。
正代が新大関の場所でどんなパフォーマンスを見せてくれるかに注目ですね。
地獄から這い上がった力士たちの活躍!
幕内上位まで昇進しながらも、ケガで幕下以下まで転落した力士の復活劇にも注目です。
九重部屋の千代の国は、ケガで幕内筆頭から幕下46枚目までの陥落を経験。
しかし、返り十両となった先場所では、圧倒的なパフォーマンスで十両優勝を達成し、久々に幕内に戻ってきました。
また、序二段まで落ちながらも十両に戻ってきた木瀬部屋の宇良にも注目です。
アクロバティックな相撲で人気者の宇良ですが、体重を増やしたことで以前にはなかったパワーもつけており、十両の台風の目になりそうな存在といえるでしょう。
また、ケガで大関から序二段まで陥落しながらも、7月場所で優勝した照ノ富士も忘れてはいけません。
先場所は残念ながらケガで途中休場となりましたが、前頭筆頭で勝ち越したことで、今場所は返り三役として小結に復帰。
大関陣からすれば、嫌らしい存在です。
正念場を迎えた白鵬・鶴竜
本場所の本筋とは外れますが、ともに休場となった二横綱についても注目です。
白鵬はヒザ、鶴竜は腰と、両者ともに持病のコンディションが悪く、休場となりました。
二人そろって三場所連続の休場では、さすがに横綱としての責任を果たしているとはいえず、横綱審議委員会からも厳しい意見が投げかけられています。
(来場所に進退がかかる、との声が聞かれています)
両者ともに35歳となっており、引退して後進に道を譲るときが近いのは明白ですが、特に心配なのは鶴竜です。
鶴竜はまだ日本国籍を有しておらず、親方になる資格を満たしていません。
(親方の資格についてはこちらの記事を参照)
もし、日本国籍を取得できずに引退勧告を突き付けられ、引退となった場合、鶴竜は廃業となり、角界に居場所がなくなってしまいます。
素晴らしい実績・人格を備えている鶴竜なので、なんとか親方として角界に残ってもらいたいという意見も多いですが、果たしてどんなキャリアの結末を迎えるのかに注目が集まっています。
11月場所の優勝候補は正代!
では、11月場所の優勝候補はいったい誰でしょうか?
ズバリ、正代を優勝候補と見ます。
以前まで見られた立ち合いで胸から当たりに行く癖を修正したことで、しっかりと四つに組んで自分のペースに持ち込むことができるようになりました。
11月場所前の合同稽古で調整も十分。
両横綱不在の11月場所では、9月場所と同様のパフォーマンスが発揮できれば、優勝候補の筆頭といえるでしょう。
対抗馬は朝乃山!条件付きなら貴景勝
朝乃山は精神面が課題か
正代の連覇を阻む存在としては、同じ大関の朝乃山を挙げます。
先場所は初日からまさかの3連敗スタートとなり、最終的に2つの不戦勝を含む10勝5敗という結果に終わったことで「精神的にもろいのでは?」という意見も聞かれます。
しかし、本来の朝乃山といえば、正統派の安定感のある四つ相撲が魅力の力士です。
あえて場所前の合同稽古には参加せず、部屋での調整を選択して自分の体・心と向き合うなど、汚名返上の場所として期するものがあるはずです。
貴景勝はケガを克服できるか?
同じ大関の貴景勝も優勝に届く実力はありますが、ケガが多く、最終日まで安定して実力を発揮できる場所が少ないのが課題です。
貴景勝については「ケガがなければ」という、枕詞つきで、対抗馬とさせていただきます。
大穴は御嶽海と髙安!
くせ者の御嶽海
先場所では大関昇進の可能性がありながらも、不安定な内容で星を取りこぼし、大関チャレンジは振出しに戻ってしまった御嶽海。
精神的にムラがあり、また稽古場ではあまり本気を出さないということもあり、前評判はあまり芳しくはありません。
しかし、ここぞというビッグマッチに強い「くせ者」であり、侮れない存在です。
特に今場所は、両横綱不在という好機です。
これを御嶽海が見逃すとは思えません。
(過去の2回の優勝はいずれも横綱不在の場所で達成しています)
上り調子の髙安
かつては大関まで昇進しながらも、2020年初場所で関脇に陥落し、その後も幕内下位まで番付を落とした髙安。
しかし、7月場所9月場所と連続で10勝を挙げて、再び三役に返り咲きました。
特に7月場所は優勝した照ノ富士に土をつけるなど、体調さえ万全ならば実力は幕内上位でもトップクラスです。
2021年2月に奥さんが出産を控えていることもあり、気力十分で望む今場所は不気味な存在といえるでしょう。
その他注目の力士:千代の国
今場所で返り入幕となった千代の国は、非常に興味深い存在といえるでしょう。
ケガをする前は、四つ相撲に持ち込んで力任せに相手を投げる、強引な取り口が魅力ではありましたが、それがケガにつながっていました。
しかし、幕下に陥落した後は取り口を見直したのか、しっかりと前に出るような相撲も見せるようになり、安定感が増しました。
幕内下位での取り組みとなりますが、連勝街道に乗れば、7月場所の照ノ富士のように、千秋楽のころには台風の目になっているかもしれません。