締め込みは洗濯しないのが伝統!
相撲では、関取以上になると本場所・巡業では締め込みと呼ばれる、鮮やかな色のまわしを着用します。
そして、この締め込みについては「洗濯しない」というのが伝統となっています。
それには2つの理由があります
洗濯できない理由①素材が高級品なので、洗濯すると劣化してしまう!
なぜ、まわしを洗濯しないのかというと、締め込みの素材の問題があります。
締め込みは博多織または西陣織といった高級織物でできており、洗濯してしまうと織物の繊維が崩れてしまい、生地を長持ちさせられないのです。
生地がボロボロになってしまうと、見栄えが悪くなるだけでなく、肌にこすれる部分との摩擦で出血したり相手力士をケガさせてしまう可能性もあります。
特に、締め込みは一本で100万円以上することも珍しくない高級品なので、いかに高給取りの関取といえども、おいそれと買い替えることもできません。
洗濯できない理由②ゲン担ぎ・思い入れがあって洗えない!
まわしは、使い続けることで、力士の汗や土俵の砂などがしみ込むことで、年月とともに色が変わっていきます。
また、力士によってはまわしをポンポンと叩く部分に手の跡がつくなど、年季が入るほどに味が出てきます。
このように、長く使い続けたまわしの”味”が気に入っているためにまわしを洗濯できない、という気持ちの問題もあるようです。
また、連勝中は同じまわしを使い続けるというゲン担ぎの意味合いもあるようです。
洗濯しないなら、まわしって汚いのでは…?
材質の問題や思い入れがあるとはいえ、肌に直接触れるだけでなく、陰部にも触れるまわしを洗濯しないのは衛生面が気になりますよね。
「まわしは洗濯しないもの」とは言ってもやはりメンテナンスは必要なようです。
そのメンテナンスの方法としては、陰干しをするというシンプルなものです。
また、陰部に触れる部分に関してはアルコール消毒を施すなどのケアは行っているようです。
なお、安価な木綿のまわしなどは、ひどく汚れた場合は廃棄しており、稽古まわしについては廃棄する前提のために洗濯をしていない、という面もあるようです。
ちなみに、毎日使う稽古まわしの耐用年数は2.3年程度となっており、本場所や巡業でしか使わない締め込みについては、よほどボロボロになるまでは使い続けるのが習わしです。