相撲部屋を代表する責任者である親方は、元力士が務めますが具体的にどんな仕事をしているのかあまり知られていません。
今回は、意外と忙しい親方の仕事内容を紹介します。
親方は相撲協会に所属しているサラリーマン?
親方は、こちらの記事で紹介しているように年寄名跡を取得して相撲協会に所属しています。
親方の給料や待遇・出世については相撲協会が決めることになっているため、相撲協会に所属するサラリーマンのようなポジションといえます。
親方の主な仕事内容
では、具体的に親方は普段どんな仕事をしているのでしょうか?
下記の5つの仕事が主な仕事になります。
相撲協会からの仕事
親方によって、下記の部署に所属し、普段はそれぞれの仕事に従事しています。
・相撲教習所での若手力士の指導
・指導普及部…一般向けの相撲教室の開催や、出版物の刊行
・広報部…報道関係への情報提供や、映像制作・管理、肖像権の管理など
・競技監察委員会…八百長や無気力相撲の防止のためのチェック
・生活指導部…力士の普段の生活態度の指導や、諸問題の処理
・東京場所事業部…東京での本場所の運営を行う
・地方場所事業部…地方本場所の運営を行う
・巡業部…地方巡業の運営を行う
・相撲博物館…相撲資料の保管・展示物の管理
・審判部…取り組みの際の判定を司る
広報部や審判部は、元横綱・元大関などが務めることが多く、花形部署のようです。
特に、審判部は出世コースのようで、その後に理事などの役員に出世するケースが多いです。
相撲部屋の経営
経営者として相撲部屋の収支を管理するなど運営をするのも親方の仕事です。
特に、大食漢の大男が集う相撲部屋の経営は想像よりも大変なようで、食費・光熱費は莫大な金額がかかります。
経営者としての手腕が問われる仕事でもあります。
後進の育成・指導
親方の仕事の本分といえば、部屋の弟子の育成でしょう。
早朝5時くらいから稽古が始まることが多いですが、最後まで稽古場全体に目を光らせて、弟子の指導に当たります。
弟子によって個性が違ったり、時代によって育成手法を変えたりと、指導も一筋縄でいかず、苦労することも多いよう。
また、土俵以外では生活面では門限を設けたり、規律を定めるなど、弟子を一人の社会人・大人として育て上げる責任も背負います。
相撲部屋は親元を離れて弟子が住み込みで生活するので、弟子にとっては第二の親のような存在にあたりますから、その責任は重大なのです。
スカウト
部屋の弟子を指導するだけでなく、才能がある良い子がいれば親方はスカウトも行います。
地方の学校はもちろん、海外にも目を光らせてスカウトに赴く親方も。
相撲は体格や運動神経など、特に才能が重要なスポーツなので、人材確保は想像以上に大変なようです。
フットワークの軽さも親方の重要な要素といえるでしょう。
後援会との交流
部屋を運営するには、後援会の協力が不可欠。
後援会とのコミュニケーションをとることも、円滑な部屋の運営には重要な仕事の一つです。
後援会からの縁で、地方の才能ある子を発掘したり、弟子の結婚相手を見つけてもらったりと、後援会のネットワークは公私両面で重要です。
後援会に協力をしてもらうためにも、人付き合いもしっかりとこなせる、大人としての礼儀やコミュニケーション能力も必要な要素といえるでしょう。
親方は相撲のことだけやっていればいいわけじゃない!
親方になると、後進の育成だけでなく、経済的な知識や、後援会への協力要請など、経営者としての仕事もこなさなければいけません。
相撲のことだけに集中していれば出世できた、現役時代とはまた違った難しさがありそうですね。
しかし、現役時代は出世できなかった力士が、弟子を横綱・大関まで育て上げたり、幕内力士を何人も輩出する名親方になることもあります。
あなたの好きな力士もいずれ親方になって、思わぬ活躍をみせるかもしれませんね。